自閉スペクトラム症で障害年金が受け取れる場合
1 自閉スペクトラム症の障害認定基準上の分類について
自閉スペクトラム症は発達障害の一つに位置付けられており、発達障害は精神の障害の一つとして障害年金の認定基準の中に位置づけられています。
そのため、自閉スペクトラム症と診断されている場合には、障害年金の受給対象になる可能性があります。
2 障害年金の受給対象となる場合
なお、障害年金の支給は病名だけで判断されるわけではありません。
例えば、初診日を特定したり年金の納付要件が満たされているかどうかなどの障害の内容や程度とは異なる要件についても、すべて基準を満たしている必要があります。
なお、発達障害の場合、症状が顕著な方であれば、未成年の頃から通院をしているケースも少なくないため、年金の納付要件が問題ないことも多いです。
3 障害の程度について
障害年金を受給できるのがどの程度の障害の程度かということについては、障害年金の等級制度について理解する必要があります。
障害年金には、1級から3級があります。
具体的な等級の要件については、障害年金認定基準として日本年金機構のホームページに公表されていますので、詳細はそちらをご参照ください。
概要を紹介すると、3級は、日常生活は自立しているものの労働には著しく障害がある程度、2級は、就労は困難で日常生活も他者の援助が必要な程度、1級は、日常生活に常に他者の援助が求められる程度です。
自閉スペクトラム症は先天的な発達特性であるため、うつ病のように悪化したり寛解したりという症状の変化は起こりにくいといえます。
もっとも、職場や生活環境等により発達障害による症状が顕著に表れるということはありえます。
そのため、診察や診断を受ける時期によって、医師の診断内容が軽くなったり重くなったりすることはありえます。
また、うつ病などのその他の精神疾患を併発して障害の程度が悪化するということもありえます。
このように、障害の程度は時期によっても評価が変わりうるものです。
上記の1級から3級の目安にあてはめて、該当する可能性があれば、障害年金の申請を検討する価値は十分あるといえます。